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電力用抵抗器

電力用抵抗器
Resistors for Electric power systems
電力用抵抗器は、送電線の各種地絡事故による故障電流を抑制して発電所・変電所の機器を保護し、送電線に並行する通信線への誘導障害を防止するため、主変圧器・発電機の中性点を抵抗接地する中性点接地抵抗器(NGR)が代表的なものです。
最近では、電力の品質を向上させる目的で使用される、変圧器励磁突入電流抑制抵抗器や高調波除去フィルタ用抵抗器なども数多く設置されるようになりました。
  • 対応電圧:低圧から超高圧まで対応します。
  • 絶縁検証:1500kV衝撃電圧発生装置と250kV商用周波耐電圧装置で実施しています。
  • 耐震性:規格に基づく、共振正弦3波最大水平加速度3m/s2 に耐える構造を有しています。

中性点接地抵抗器

従来からの空気を絶縁に用いた中性点接地抵抗器(Neutral Grounding Resistor:略称NGRまたはNR)で、1930年に旧日本発送電株式会社に納入して以来、わが国十大電力会社をはじめ、総合電機や重電を通じて国内はもとより、広く海外にも多数を輸出しています。また、その製作範囲は、161kVまでの超高圧のものにおよび、その安定した性能は需要家各位の高い評価を得ています。
中性点接地抵抗器
耐雪・耐震形 77kV用NGR
中性点接地を行なう目的としては、低電圧・短距離送電線では中性点接地を行なわなくても支障はありませんが、高電圧・長距離送電線では各種の障害を生じるため中性点接地を行ないます。
障害の主なものは、下記のようなものがあります。

  • 一線地絡時の異常電圧のため、機器および線路の絶縁を害する。
  • 地絡故障の検出不可能のため、故障が長く継続する。
  • 送電線故障時に、これと近接する通信線に誘導電圧または電流を生じ、このために通信用機器を損傷したり、通信事業者に危害がおよぶ。

当社が製作している中性点接地抵抗器は、わが国では、土地が狭く電磁誘導障害が起こり易いために、100Ω~1000Ω程度の抵抗で発電機や変圧器の中性点を接地する抵抗接地方式に使用されています。当社の中性点接地抵抗器は、電圧(絶縁)、電流(熱)、抵抗(抵抗素子)、震動(地震)、などの条件を提示して頂ければ、豊富なバックデータを元に最適な抵抗器を設計・製作します。

ガス絶縁中性点接地抵抗器

関西電力株式会社、日新電機株式会社並びに当社との共同研究により、SF6ガス絶縁中性点接地抵抗器(GINR)および中性点リアクトル用直列抵抗器(GSNR)の開発を完了し、電力会社、卸売電力会社、総合電機、重電に製品の製作・納入も順調に進んでいます。

抵抗器の特長

ガス絶縁中性点接地抵抗器
77/√3kV、100A、10秒、GIS直結形
  1. 縮小化
    近年、変電所の用地取得難・安全性・信頼性の向上などの要望が強く、これに対するために絶縁性能が優れた不燃性のSF6ガスを使用し、地絡時に発生する膨大な熱エネルギーを一時蓄熱し、徐々に放出する方法で縮小化を図り、GISとの協調が可能となりました。
    もちろん、ブッシング接続型も納入可能です。
    77√3kV、100A、10秒 定格品では、縮小化は1/6となりました。(当社従来品比)
  2. 安全性の確保
    従来の空気絶縁形では、充電部が露出していましたがGINR、GSNRの場合、充電部はすべて大地電位の金属容器に収納していますので安全性の高い機器となっています。
  3. 現地据付工期と試験の短縮
    工場において完全組立状態で試験し、全装の状態で現地搬入、据付が行なえます。

油入密閉型中性点接地抵抗装置

東京電力株式会社、株式会社高岳製作所並びに当社との共同研究により、油入密閉形中性点接地抵抗装置(ONR)および中性点リアクトル用直列抵抗装置(OSNR)の開発を完了し、電力会社、卸売電力会社、総合電機、重電に製品の製作・納入も順調に進んでいます。

装置の特長

油入密閉型中性点接地抵抗装置
66/√3kV、100A、10秒、381Ω
  1. 縮小化
    従来、別個に設置されていたNGR、断路器およびケーブル終端などを含めて密閉構造としたので従来形の機器に対して設置空間を大幅に縮小することが可能となりました。
    66kV、200A定格品では、縮小化率は面積で20.9%、容積で11.1%となりました。
  2. 安全性の確保
    従来の空気絶縁形では、充電部が露出していましたがONR、OSNRの場合、充電部はすべて大地電位の金属容器に収納しているので安全性の高い機器となっています。
  3. 保守・点検業務の省力化
    抵抗器は絶縁油中に完全密閉され、絶縁強度上も雷インパルスに対し、無振動構造とし信頼性を確保するとともに、窒素密封式を採用することにより、油の劣化を防止して無保守、無点検を指向した構造としました。
  4. 現地据付工期と試験の短縮
    工場において完全組立状態で試験し、全装の状態で現地搬入、据付が行なえます。また、ケーブル接続が容易なプレモールド絶縁体を使用したケーブル・ヘッドを採用し、接続作業は迅速・確実で据付作業と現地試験の大幅な省力化が可能です。

経年品の劣化診断

当社は中性点接地抵抗器についての、経年劣化状況を電力会社のご協力を得て現地サンプル抽出により多数保有しています。
その結果からは下記のことが得られました。
抵抗値
経年15年で規定値を越えているものが多くなる。
絶縁抵抗値
経年20年で絶縁抵抗値が低下を始める。
外箱
経年20年で板厚が1/3~1/4になる。
内部絶縁物(マイカ類)
経年20年で剥離等が発生する。
ねじ締付けトルク
経年20年で極端な低下が始まる。
以上の結果から、経年20年を境にして抵抗器の仕様項目が許容値を越えているものが多くなり、一応の寿命限度と判断しています。
設置、使用条件により20年を経ずとも劣化が進んでいるものも見受けられますので、送電・変電設備の異常検知機器であるという使用特性を鑑みると、是非とも当社の実施する劣化診断を受診して頂くことを推奨します。
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